DataEnablingチーム マネージャー 前原 武さん
エンジニアリングマネージャーが、コーチングを受ける意味。自身の弱みに向き合い、理想のデータ組織をつくる
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今回は、実際にmentoのコーチングを受けてくださった方のインタビューをお届けします。テックタッチ株式会社の前原さんは、エンジニアリングマネージャーに昇進して間もなく、チームマネジメントに課題を感じていました。
最初はコーチングに懐疑的だったものの、会社の勧めもあってmentoのコーチングを受けることに。コーチとの対話により、「成長のボタン」を見つけられたといいます。自分の弱みに向き合えるようになったという前原さんが、コーチングでどのように成長していったのか、話を伺いました。
データの活用可能性を広げるため、自ら手を挙げてマネージャーに
まずは、前原さんご自身のこれまでのキャリアについてお聞かせください。
前原さん:大学院を修了後、メガベンチャーにデータアナリストとして就職しました。その後、スマートフォン向けゲーム開発会社に転職。データ分析基盤を担当しました。そこから年齢を重ねていくにつれて、自分だけではなく周りの人たちを幸せにできる仕事がしたいと考えるようになったんです。そんな時にテックタッチに出会って入社を決めました。そして1年ほど前から、データイネーブリングチームのエンジニアリングマネージャーを任せてもらっています。
現職で初めてエンジニアリングマネージャーに就任されましたが、マネージャーには挑戦したいと思っていましたか?
前原さん:もともと、あまりマネジメント志向はなかったんですよ。でも、自分の視座を上げたり、できることの範囲を広げていきたいと考えたときに、こういう選択肢もありかと思ってチャレンジしてみました。テックタッチのマネージャー制度は、自分のWillをもとに昇格試験に立候補する形式を取っています。そして「テックタッチ・組織をどうしていきたいか」を話す面談や、上司や同僚・仲間によるアンケート形式の360度フィードバックも受けて決まります。僕も自分で立候補してマネージャーになりました。
マネジメントとして、どんなことをしていきたいと思ったんでしょうか。
前原さん:当時のデータイネーブリングチームは、まだ組織としての方向性が定まっていない状況でした。テックタッチのデータ活用や、データに関する機能開発を発展させるために、しっかりと組織としての方針を決めてチームをまとめていく必要があると考えました。そして、僕の入社の目的である「テックタッチを通じてみんなを幸せにしたい」という思いを実現していきたいと考えたんです。
初めてのマネジメント。ヒントを掴むため、コーチングを受けた
もともと、コーチングにはどんな印象を持っていましたか?
前原さん:実は……最初はちょっと懐疑的だったんです。マネジメントについて色んな本を読み漁る中で、コーチングというワードは認識していたんですけど、「ちょっと怪しいな」って(笑)。
僕は社内の1on1も好きで、雑談で盛り上がったりもするんですよ。でもその雑談が学びになるのかというと、難しいケースも多いじゃないですか。よく知っていて業務内容や価値観も共通している社内の人相手でもそうなのに、まったく知らないコーチと話をして、どんな効果があるんだろうと思っていました。
そんななかでも、コーチングを受けられた理由は?
前原さん:正直あまりマネジメントがうまくいってなかったからです。初めてマネジメントを任されるので、本を読んだり色んな人に相談したりしてみたものの、どうしても手応えを感じられなくて。マネージャーになりたての人“あるある”だと思うんですけど、メンバーに対して「自分だったらこうする」とか「自分でやった方が早いのに」って思ってしまうじゃないですか。
これまでプレイヤーとしての振る舞いしか知らなかったから、マネージャーとしてどうすればいいのか手探りの状態でした。だから、先ほどお話したように正直なところコーチングには懐疑的でしたが、もしかしたら何かヒントがもらえるかもしれないと、試してみることにしました。
心が「きゅーっ」となる瞬間こそ、成長のボタン。コミュニケーションの成功体験を重ねていく
実際にコーチングを受けてみて、印象に残っているセッションはありますか?
前原さん:僕のコーチングは、まず僕が言いたいことをバーっと話して、コーチが問いを投げかけてくれて、それを受けてまた僕が考えて話すのを繰り返していくスタイルです。ある時…5,6回目くらいかな?「もっとメンバーとこうコミュニケーションを取りたいのに、うまくいかないんです」っていう話をしてたんですけど、コーチから「前原さんって、自分が一番に見られたいタイプなんですか?」と問いかけられたんです。その言葉がグサっときて。自覚していませんでしたが、確かにそういうところがあるかもと。
よかったのは、コーチが否定もせず「それが前原さんなんですね」と受け止めてくれたことです。その上で、どうすれば僕がなりたい姿に近づけるのか、もっと仕事が楽しくなるのか、そういう方向に話をしてくれたことが印象的でした。
核心に迫る言葉って、時にはまっすぐ受け入れられないことがありますが、前原さんがコーチのフィードバックを受け止められたのはなぜだと思いますか?
前原さん:コーチングを受ける前は「社外の知らない人と話して効果があるのか」と半信半疑でしたが、実際に受けてみると、圧倒的に第三者と話す方がいいと感じました。コーチとは利害関係がないからこそ、弱みも見せられるし、困っていることが何でも話せたんです。
そして、コーチも早い段階で僕が「一番に見られたいタイプ」だと気付いていたと思います。でも、最初からそれを指摘するのではなく、何度かセッションを重ねる中で、僕の方からそういう言葉が出てくるのをずっと待っていてくれたんですよね。そういう信頼できる人からのフィードバックだったからこそ、グサッとくる言葉でも受け入れられたのだと思います。
コーチングを受ける中で、マネジメントへのヒントは得られましたか?
前原さん:マネジメントは、色んな意味で強くないとできない役割だと思います。だからこそ、強くなるには自分の弱さと向き合っていく必要があります。弱いところを認めるのって、心が「きゅーっ」となるんですよ。だけど、そのちょっと苦しくなる瞬間と向き合って、色んな人とコミュニケーションを取ったり、取り組みを進めることで成長して強くなっていくのだと感じました。
だから、「きゅーっ」となる時こそ、成長のためのボタンなんだとコーチとはよく話しています。
実際に、どういう行動をしていったんですか?
前原さん:最初のハードルは、メンバーとのコミュニケーションだったんです。やっぱり「周囲から一番に見られたい」という想いが強かったので、「メンバーと良いコミュニケーション取らないと」とか、「何かメンバーにとってプラスになることをしないと」とか、色々なことを考えすぎて、メンバーと接するのが怖くなっていたんですよね。
そこでコーチと「どうすれば怖さを克服できるのか」を話した結果、何か新しいことを試す前に、メンバーに1on1で聞いてみるようにしてみました。そうすると意見も出してもらいやすくなって、それを繰り返していくことで、コミュニケーションがどんどん怖くなくなっていったんです。
エンジニアとして技術と向き合ってきたところから、マネージャーになるとコミュニケーションも求められるようになります。その大きなハードルに挑戦できたんですね。
前原さん:まさにその通りです。マネジメントとして、メンバーともそうだし、別のチームのエンジニアリングマネージャーともコミュニケーションを取る必要があります。特にデータ関連のチームはビジネスサイドとの連携も多く、考え方や文化も違い、さらにコミュニケーションのハードルが上がります。
各方面とのコミュニケーションも、雑談の1on1を入れてみたり、話す内容をしっかりと準備したりして、コツコツと数を重ねていきました。メンバーと向き合う中でコミュニケーションに対する恐怖を克服してきた経験から、「これを乗り越えれば成長できる」と学んでいたことが大きかったと思います。コーチングのセッションがない時も、コーチの言葉を頭に浮かべながら頑張れました。
自分以外の人にも成功体験を積んでもらいたい
コーチングを受けて、実際に行動を変えてみて、どうでしたか?
前原さん:やってみたら、めちゃくちゃ楽しかったです。今、僕がチームや会社でやろうとしていることは、ちゃんとコミュニケーションを取ろうとしなければ絶対にできなかったと思います。コーチングを受けたからこそ、今の僕があります。
周囲の人からは、どんな反響がありましたか?
前原さん:嬉しかったのは、社内のプロダクトマネージャーから「プロダクトマネージャーやればいいんじゃない?」と言ってもらえたことです。まさに苦手ながらもそういう動き方を意識していたつもりだったので、ポジティブに受け止めてもらえてよかったなと思いました。
また、先週メンバーと1on1したときに「1年前と比べると、チームの状態も仕事のクオリティもめちゃくちゃよくなってる」と言ってもらえて、前向きな気持ちになりましたね。コミュニケーションの機会も量も以前より格段に増やしていて、週次の定例やアドホックなミーティングなども通じて、みんなの目線がしっかりと合わさってきていると思います。
あとは、「このチームで何をしていくのか」を明文化して、半年間の目標など方向性も立てて、メンバーと一緒に走っていこうという話もしています。
改めて、前原さんが感じるコーチングの価値とは?
前原さん:エンジニアやマネージャーに限らず、ビジネスパーソンとして自分と向き合うことはとても大切なことです。でも、自分との対話を自力で習慣づけられる人は、1割もいないと思います。だからこそ、多くの人にとってコーチングが必要です。コーチが問いを投げかけてくれることによって、僕は自分と対話することができるようになりました。この機会がなかったら、忙しい中で自分の考えを咀嚼して、行動を変えていくことは難しかったと思います。
最後に、これからの目標を聞かせてください。
前原さん:僕自身、コーチングを通してアクションを起こして、成長していく実感を得ることができました。今後は、僕以外の人が成功体験を得られるように支援していきたいです。
そしてマネージャーとしては、テックタッチの未来のために「あるべきデータの姿」を掲げ、そこに向かってメンバーが自ら何をすべきか考えて動き出せるような組織にしていきたいです。
ありがとうございました!引き続き、mentoコーチとともにご活躍を応援してまいります。
mentoサクセス担当荒生、前原さんの上司で事業部CTOの伊藤さんと共に